夜想葬曲

詩や短歌、想う事など

2017-01-01から1年間の記事一覧

【短歌連作】あなたと結婚したい

タイトル通りの10首 「あなたと結婚したい」 ●真っ白い壁紙広い窓、振り向く君を待ってた「ここに住もうよ」 ●ダンボールに囲まれてお茶を片手に笑う君が好きです ●シャワーだけで終わっていたお風呂を誰かのために沸かす幸せ ●ベッドはひとつ、明日も明後日も多…

HiGH&LOWに存在する二種類の『オメラス』

HiGH&LOWが面白い。内容がどうとか説明すると長くなるからとりあえず見てない人でこのページ読んで興味持ったら見てみてくださいね。 そのHiGH&LOW、ストーリーはほぼ簡潔に男達がプライドをかけて殴り合ってる愛すべき馬鹿ストーリーなんですがなんだかん…

風に立つ蝶々

「風に立つ蝶々」 月が目覚めたように薄氷が割れては風が吹き指に触れた蝶々さえ見つからなくなってた ただ1度きり春の夢を見て手袋に白い息会えばいつか別れが来ると知っていたはずでした 西の空に君が残して行った日々は永遠に褪せぬのでしょう信じた友を見…

【小説】芍薬の花嫁

その日は生憎の雨で、弔問客のひそやかな会話が葬儀場に押し込められていた。 学生時代から付き合いのある友人の、そのお嬢さんが亡くなったと連絡を受けたのが一昨日の事。 おとぎ話と空想と、窓辺の庭と使用人だけが友達だったお嬢さんは、病気がちの体故…

静脈の春

「静脈の春」 時に逸りし春の風が我が血潮となりて先を歩ます。眼前の断崖にて沈む夕日は こっとん、こっとん船を漕いで海へ逝く。来た道ゆく道猫に食わせてあの子この子と幸福の数を数えている。川の色、山の色、猫の目の色、時計の針も、眠る少女のブラウス…

【HiGH&LOW二次創作詩】日向紀久「伏せた盃」

今日のムダ知識:汨羅は達磨の女。 「伏せた盃」 通りゃんせ 通りゃんせお天道様の細道で黒猫一匹日向ぼこ 裸足で歩いた少年の、影に一つ寒椿空では鷲が笑っている京で龍を食らった神様の祭囃子に篝火に、酒を月で温めた此処より春高楼の夢の跡 通りゃんせ 通り…

【HiGH&LOW二次創作詩】村山良樹「王様のうた」

HiGH&LOWはいいぞ。 「王様のうた」 あれとこれと全てを投げ捨ててその手に釦ただ一つ。第二釦を握り締め世界に拳を振り上げる。 これが俺の心臓だ。これは俺の吐いた血だ。傷だらけの足で玉座に乗った。 それがお前の心臓だ。これが俺の焼いた骨。青い天を纏…

夕日香灯

夕日香灯(ゆうひこうとう) 死んだ初夏を桜の根元に埋めまして今日も月は店仕舞軒で嘆く子らを前に仏の足音が啜り泣いてやって来ます マッチ1本の火が私の涙その火で太陽を作るのです然もなくば役者が降ろした緞帳に谷の街は湖になるからです 雨雲を縫うあの…

ただ一度だけ(「会議は踊る」より)

とある話題の中で生まれた物語のイメージソングとして「会議は踊る」(1931年の映画)で歌われた「Das Gibt's Nur Einmal」が似合うのではないかと言うことで和訳していただいたものをもとに自分なりにメロディーに乗せられる詩を目指して作詞してみました。 既に…

羽を拾う冬

愛する人の香りを纏った初春が、船に揺られてやってきた。走る木枯らしの背に負われ夜の海に漕ぎ出た三日月に、人々は古く伝わる蛍雪を慈しむ。鐘の音よ!鐘の音よ!居眠りする羊を昨日の夕日へ追い立てろ!全ての人々の喜びの歌を標に初春はやってきた。愛…