2020-02-18 窓の外の雪 窓の外の雪/飛月汨羅 やわらかなる湯気に溺れながら、 昔は寝そべっても届かなかった浴槽のふちを爪先で搔いてみる。 赤い金魚がわたしの身体を撫でて泳ぎ出したので、慌ててすくいだそうとしたら湯船に逃げた。 飛沫を上げて1匹2匹3匹と5匹、赤いドレスを着た少女の頃の私が逃げていく。 彼女達を排水溝に追い立てる私の焦りなんか露知らず、 居間では炬燵で黒猫が甘酒の湯気に微睡んでいた。