夜想葬曲

詩や短歌、想う事など

窓の外の雪

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窓の外の雪/飛月汨羅

 

やわらかなる湯気に溺れながら、
 昔は寝そべっても届かなかった浴槽のふちを爪先で搔いてみる。

赤い金魚がわたしの身体を撫でて泳ぎ出したので、慌ててすくいだそうとしたら湯船に逃げた。
 飛沫を上げて1匹2匹3匹と5匹、赤いドレスを着た少女の頃の私が逃げていく。

彼女達を排水溝に追い立てる私の焦りなんか露知らず、
 居間では炬燵で黒猫が甘酒の湯気に微睡んでいた。