読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

夜想葬曲

詩や短歌、想う事など

風に立つ蝶々

「風に立つ蝶々」 月が目覚めたように薄氷が割れては風が吹き指に触れた蝶々さえ見つからなくなってた ただ1度きり春の夢を見て手袋に白い息会えばいつか別れが来ると知っていたはずでした 西の空に君が残して行った日々は永遠に褪せぬのしょう信じた友を見送…

静脈の春

「静脈の春」 時に逸りし春の風が我が血潮となりて先を歩ます。眼前の断崖にて沈む夕日は こっとん、こっとん船を漕いで海へ逝く。来た道ゆく道猫に食わせてあの子この子と幸福の数を数えている。川の色、山の色、猫の目の色、時計の針も、眠る少女のブラウス…

【HiGH&LOW二次創作詩】日向紀久「伏せた盃」

今日のムダ知識:汨羅は達磨の女。 「伏せた盃」 通りゃんせ 通りゃんせお天道様の細道で黒猫一匹日向ぼこ 裸足で歩いた少年の、影に一つ寒椿空では鷲が笑っている京で龍を食らった神様の祭囃子に篝火に、酒を月で温めた此処より春高楼の夢の跡 通りゃんせ 通り…

【HiGH&LOW二次創作詩】村山良樹「王様のうた」

HiGH&LOWはいいぞ。 「王様のうた」 あれとこれと全てを投げ捨ててその手に釦ただ一つ。第二釦を握り締め世界に拳を振り上げる。 これが俺の心臓だ。これは俺の吐いた血だ。傷だらけの足で玉座に乗った。 それがお前の心臓だ。これが俺の焼いた骨。青い天を纏…

夕日香灯

夕日香灯(ゆうひこうとう) 死んだ初夏を桜の根元に埋めまして今日も月は店仕舞軒で嘆く子らを前に仏の足音が啜り泣いてやって来ます マッチ1本の火が私の涙その火で太陽を作るのです然もなくば役者が降ろした緞帳に谷の街は湖になるからです 雨雲を縫うあの…

羽を拾う冬

愛する人の香りを纏った初春が、船に揺られてやってきた。走る木枯らしの背に負われ夜の海に漕ぎ出た三日月に、人々は古く伝わる蛍雪を慈しむ。鐘の音よ!鐘の音よ!居眠りする羊を昨日の夕日へ追い立てろ!全ての人々の喜びの歌を標に初春はやってきた。愛…

鋼の雪

鋼の雪を踏みつけて 私は彼等の屍を登るひとりぼっちの雪原のバベルの塔のてっぺんへ 荒野の夕日に椅子の影とうに居なくなった薔薇の花私は貴女の声を探している 聞こえますか、今日の羊雲私は鋼の雪を食べてただ一つの歌をうたっているただ一つの声を待って…

ある夜の事

ある夜の事 お煎餅が割れました波の向こうのお煎餅 この間までまんまるで綺麗に輝いていたものですからわたしはひどく驚いて灯台に話を聞きますと 「鯨が齧つていったのさ」 と、灯りを回して笑います 鯨はそれをどうするのかと問いますと答えたのは彼でなく…

鯨の歌

鯨の歌 ここは海の底の底 クジラの声が聞こえます まっさかさまにおっこちて ぼくの影はどこへやら すこしの光は藻に砕け 硝子のように散りに散り ここは海の底の底 クジラがどこかで歌います まっさかさまにおっこちて ぼくの声はどこへやら すこしの息は泡…

今日もどこかで

今日もどこかで 静かにあめが降りました温かいのか冷たいのかあまいのかにがいのかわからず袋に詰めました 空があかく焼けました朝になるのか夜になるのかうれしいのかかなしいのか知らずに瓶に詰めました 風が吹いたのですがそれは袋にも瓶にも入らずにひと…

夜明け頃

夜明け頃 月が行灯を食べる頃裏戸で鯨が跳ねましたそうっと出てきたお日様は地平に朝を告げるのです さて、その頃山が恋をする欠伸を溢すセーラーに木々はその葉を赤く染め彼女に首(こうべ)を垂れました お日様立橋昇る頃鯨が月を食べましたそうして朝はやっ…

春の神話

春の神話 桜ひとつ眠った連理の枝に雪がそっと開いた月の憂いにも似た瞳は揺れる夜の帷の中 いつか誰かが呼んだ名前をひとつ雪にそっと溶かして朝日手招いてほら狛犬たちがやさしく笑ってる 散らざるはあなたの言の葉止めないで風が薄紅に色づくから 愛しい…