夜想葬曲

詩や短歌、想う事など

窓の外の雪

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窓の外の雪/飛月汨羅

 

やわらかなる湯気に溺れながら、
 昔は寝そべっても届かなかった浴槽のふちを爪先で搔いてみる。

赤い金魚がわたしの身体を撫でて泳ぎ出したので、慌ててすくいだそうとしたら湯船に逃げた。
 飛沫を上げて1匹2匹3匹と5匹、赤いドレスを着た少女の頃の私が逃げていく。

彼女達を排水溝に追い立てる私の焦りなんか露知らず、
 居間では炬燵で黒猫が甘酒の湯気に微睡んでいた。

 

 

あさ

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   あさ
           

私がショーウィンドウの服を見ているうちに
世界は少し回ったようで、
あの子は新しい靴で出かけて行った
 真っ青な空、霞がかった春の色

私が本を読んでいるうちに
世界は少し動いたようで
窓の外の子は制服を着替えて行った
 タバコの煙が飲む、コーヒーの香り

欠伸をした猫の幸福が、
向こうの路地からやってきた。

私が少し居眠りをしているうちに
世界は少し、ほんの少し欠けたようで、
少女はお嫁に行ってしまったよ。
 満月の夜、ショーウィンドウはがらんどう。

隣の家の赤ん坊の泣き声が、
朝、カーテンを揺らしてパンが焼けた。

【短歌連作】あなたと結婚したい

タイトル通りの10首

 

「あなたと結婚したい」


●真っ白い壁紙広い窓、振り向く君を待ってた「ここに住もうよ」

ダンボールに囲まれてお茶を片手に笑う君が好きです

●シャワーだけで終わっていたお風呂を誰かのために沸かす幸せ

●ベッドはひとつ、明日も明後日も多分ずっと掛け布団は2つ

●「行ってらっしゃい」も「おかえり」も君のために存在してるあいさつ

●広い窓から飛行機にして届けたい、君が忘れた書類たち。

●喧嘩して口も聞いてないけど今日も2人の夕飯美味しい

●鼻声で「ももがたべたい」今言うか。りんご片手に廊下彷徨う。

●ハイヒールをやめて初めてファミレスで憧れたお子様ランチ

●日焼けした窓辺の綺麗な笑顔より、好きよ、今の古い笑顔が。

HiGH&LOWに存在する二種類の『オメラス』

 HiGH&LOWが面白い。内容がどうとか説明すると長くなるからとりあえず見てない人でこのページ読んで興味持ったら見てみてくださいね。
 そのHiGH&LOW、ストーリーはほぼ簡潔に男達がプライドをかけて殴り合ってる愛すべき馬鹿ストーリーなんですがなんだかんだたまに人物の持つ生き様というか宿命が重い。
 なんでそんなに傷付きながら生きてるんだお前ら、、、とここまで考えて気付いた。「オメラス」だ…………。
 HiGH&LOWという世界を成り立たせる存在は何なのか……それを解き明かすため我々はオメラスへと飛んだ……。


■はじめに
 『ゲド戦記』などの著者アーシュラ・K・ル=グィンの作品の中に「オメラス」という理想郷が存在する。「はて、どこかで聞いたことがある単語だな」と思う人も多いだろう。
 今回は、この「オメラス」がとんでもなくHiGH&LOW……と言うより「HiGH&LOW、めちゃくちゃオメラスじゃねぇか!!!!」と頭を抱えたので共有したくてHiGH&LOWオメラス論を書くことにした。
 みんな「オメラス」がすごいから読んでほしい。私は読んで1週間はどん底のどす黒い感情を抱えて過ごし、それ以降オメラスに囚われているんだ。
 要は、

私だけオメラスで苦しんでるのは納得行かねぇ!!お前もオメラスにしてやろうか!!

という記事である。
 ここまで長谷川博己の声で脳内再生された君はアテナセキュリティで僕と握手!

 

■「オメラス」とは
 一言で表すと「理想郷」である。
 SF短編集『風の十二方位(アーシュラ・K・ル=グィン著)』の中にある『オメラスを歩み去る人々』という本当に短いお話に登場する理想郷、それが「オメラス」。

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──「オメラス」という楽園がある。そこは筆舌に尽くし難い程幸福に満ちている理想郷で、争いも飢えもなく、人々に笑顔が溢れ誰も悲しみや苦しみで涙を流したりしない、テクノロジーも何もかも充実しており、広場では子供達が走り回っている、我々では想像が追いつかない程のまさに「理想郷」である。
 しかし、この「オメラス」が楽園であるために、オメラスの地下に1人の子供が閉じ込められている。
 地上には惜しみ無く降り注ぐ太陽の光も届かないじめじめした部屋で、垂れ流しとなっている自らの汚泥に塗れて部屋の隅に蹲ってただ生きているだけの子供だ。
 この子もかつてはオメラスの恩恵を受けて生きていた罪なき子である。
 「オメラス」が理想郷であるために「1人の罪なき子を地下へ閉じ込めていなければならない。助けようとすればたちまち理想郷は崩壊する」という世界との契約、システムなのだ。
 オメラスの住人は全員この存在を知っているし見ている。
 見て、見ぬ振りをしている。
 オメラスの、自らの幸福の為に──
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風の十二方位 (ハヤカワ文庫 SF ル 1-2) (ハヤカワ文庫 SF 399)

風の十二方位 (ハヤカワ文庫 SF ル 1-2) (ハヤカワ文庫 SF 399)

 

 

という、いわゆる「少数の犠牲の元に多数の幸福がある」「1人を殺して大勢を救う天秤問題」の道徳哲学からきているお話である。
 ね? とてもHiGH&LOWでしょ? え? わかんない? どこがオメラスと関係があるのかって? いい質問ですね。それでは以下のフリップ(本題)をご覧ください。


■登場人物にとってのオメラス「SWORD」

 まず、主人公(みんな主人公なんだけど)のコブラ達メイン登場人物が住む地域がSWORD。これを守ろうと彼らは外部から侵略する九龍に立ち向かう。
 まあ彼らはSWORDを守って傷付きながら戦ったりしてるので苦も飢えもない理想郷かと言われたら違うかもしれない。けれどHiGH&LOWにとって物語上ここが「世界」であり理想郷なわけである。
 その理想郷は「均衡を保つ」事で成り立っている。お互いに手出ししなければ内部の争いは起きない。
 その均衡を保つため、閉じ込められている者がいる。
 「日向紀久(林遣都)」の存在である。
 
○日向紀久の存在
 日向四兄弟の末っ子日向紀久。ご存知の通り兄率いる日向会がムゲンに敗れ親グループだった九龍から破門され家は解体、九龍やムゲン(山王)に挑む復讐鬼である。
 一見彼自身が災厄そのものに見えるが、日向紀久自身には元々罪は無い。
 彼は家族もあった、地上で普通の少年として(多分)暮らしていたのに「復讐者」「達磨一家の長」になるために家を解体されプライドを折られ地を這い泥を啜りながら「俺が何をした」と拳を打ち付け血を流しているわけである。
 そして地下牢の子供よろしく刑務所に隔離されてしまうわけである。

 なんのために?

SWORDの平和のために。

 SWORDが均衡を保てるために。平和であるために。SWORD(または九龍)の民が幸福であるために。
 日向紀久の犠牲の上にSWORDの均衡が成り立っているのである。
 日向紀久は「SWORDの幸福」のためにあんな境遇にされ復讐鬼にされ幽閉までされているわけである。
 この日向紀久を誰も助けようとはしないのだ。だって地下の子供を出したらオメラスの平和は崩壊するんだから。
 それを家村会が刑務所から地上へ日向紀久を引きずり出した。そして始まったのは日向紀久(達磨一家)によるSWORDの蹂躙、まさにSWORDの平和は崩壊したわけである。
 ね?とってもオメラス。もうすごいオメラス。
 つまり地下牢の子供(日向紀久)の犠牲の上に均衡(平和)を保っているSWORDはまさにオメラスなんだよ!
 
 余談だけどこの日向紀久をコブラがボコボコにして救ってしまうんだけれど、SWORDの地下牢は空になってしまったために平和にはならない。琥珀さんを始めとするダウトやらマイティやらが理想郷を崩壊させんと出てくるのだが、詳しくは映画を見ましょう。見た人ももう一回見ましょう。

けれど、オメラスはそこでは終わらない。
タイトルは「オメラスを歩み去る人々」なんだ。

歩み去る人々って何?どこにもいないじゃん。HiGH&LOW関係ないじゃん。

いるじゃん。いたじゃん。シーズン2にさ。


■視聴者から見るオメラス「HiGH&LOW」

 HiGH&LOWという作品全体を「理想郷」と捉えた場合、
トーリーが進む=HiGH&LOW(理想郷)の安泰
となる。
 さてそこでストーリーを作り出すために「かつては地上で光を浴びていた」「罪も無く」「どん底の人生を定められた」人間だーれだ!

ノボル君である。

 山王生まれなのに頭が良くて勉強が好きで人のためになる仕事がしたくて大学まで行って…という山王の希望の星であり王冠であるノボル。
 なんの罪も無く生きて愛する人まで出来たのに彼は刑務所に入りヤクザになるしか無く常に後ろから拳銃を突き付けられ自分の故郷に敵意を向け仲間に銃を向けなければならなくなった。
 もうまさにノボルからしてみれば「どうして自分が」だし我々からしても「ノボルが何をしたんだ!」状態。本当にノボルが何をしたと言うんだ。
 けれどノボルがそうなってしまった事でHiGH&LOWは回る。山王はノボルの帰る場所として機能し2匹の虎は王冠を守るように君臨している。
 ノボルが泥を啜る事でHiGH&LOWが動く。
 ノボルは山王に戻ろうが過去を、ミホを一生引きずっていかなければならないのだ。
 ノボルが何をしたって言うんだ。

 ところで「オメラス」、市民は地下の子供がどんな生活をしているのかを年頃になれば教えられ、その子供を見に行く。
 そしてその扱いに怒る者、ショックを受ける者だって当然出てくる。が、彼らはオメラスの幸福を壊すのは避けたいので子供に救いの手を差し伸べる事はできないのだ。
 1人の犠牲の上に自分の幸福がある事にショックを受けた市民の中から、たまにふらりと姿を消す者がいる。
 与えられた幸福を捨て、オメラスの門を潜り、真っ暗な外の世界へ出ていく。
 外の世界に何があるのか我々にはわからない。けれど彼らはそれぞれ目指す場所が分かっているらしい。

 ノボルの人生にショックと罪悪感に苛まれたミホはHiGH&LOWを歩み去ってしまった。
 ミホも幸福であったとは言えないが、ミホを救うため地下に落とされHiGH&LOWの地下で生きたノボルに罪悪感を抱いて「私を許すな」と去ってしまうのだ。
 以上の事からオメラスなんだよHiGH&LOWは。誰か(キャラ)の苦しみの上に我々の娯楽があるんだ。
 みんなオメラスろうぜ。

ミホしんどい。ノボルもしんどい。

厳密に言えば雨宮兄弟というか雅貴もオメラスの地下にいる子供なんですけどそれを言い出すと論文レベルの文字量になると思うので皆さんオメラスを読んで察してください。

風に立つ蝶々

「風に立つ蝶々」

 

月が目覚めたように薄氷が割れては風が吹き
指に触れた蝶々さえ見つからなくなってた

ただ1度きり春の夢を見て手袋に白い息
会えばいつか別れが来ると知っていたはずでした

西の空に君が残して行った日々は永遠に褪せぬのでしょう
信じた友を見送った橘の花がまた今年も咲く

君の春を想えばこそ冬柳に戯れる風、愛しい
風が立ちたる冬の恋を夕暮に愛した

願わくば春に1つ手紙を。と君を呪った夜
こんな月日2度と無いと気付けたと慰めた

どうしてだろう何度も君に恋をして温もりを分け合ったのに
春の風に発つ蝶々の方が愛しいと溢れては落ちて

風が吹き抜けた四季の庭
 希望歌い続けて鳴く子規
空いた掌に溜まる水も春雨のせいと言い聞かす

君の春を想えばこそ冬柳にに戯れる風愛しい
冷えた指先に触れた夜に口付けて眠ろう

君の春を想えばこそ冬柳に戯れる風、愛しい
茜色に染まる水尾の先に蝶が春を連れて行く

【小説】芍薬の花嫁

 その日は生憎の雨で、弔問客のひそやかな会話が葬儀場に押し込められていた。
 学生時代から付き合いのある友人の、そのお嬢さんが亡くなったと連絡を受けたのが一昨日の事。
 おとぎ話と空想と、窓辺の庭と使用人だけが友達だったお嬢さんは、病気がちの体故に一度として屋敷の外へ出る事無くその生涯を終えてしまった。

「お嬢さん、お幾つだったかしら」
「うちの子と同い年よ」
「ああ、可哀想に……」

 果たして「可哀想」だったのかどうか、と私に問われれば否定する。友人に会いにお邪魔した際に何度か会って話をした事があるが、決して自分の身体に悲観せず明るく幼い年齢にしては大人びた所がある少女で、それでいて
「いつか王子様が私を迎えに来てくれるの」
などと空想を無邪気に私に話してくれるような子だった。
 本人がどう思っていたかはともかく、私の記憶の中の彼女は「可哀想」という言葉がどうしても似合わないのだ。
 そんな健気に自分の生涯を生きた気丈な娘の遺影を、親である友人夫婦はぼんやり眺めたり時折床を見つめて肩を震わせ嗚咽を漏らしていた。
 焼香の列も少女の生涯の長さに比例するように長くは無かったために終わりが見えているが、列の最後の夫人から少し遅れて若い男が入口を跨いだのに気が付いた。
 その時、いきなり、外から聞こえていた雨音、経の声、弔問客の声、全ての音が消えたように水を打って静まり返った。
 仕立ての良さそうな黒いスーツを身にまとい、黒い髪を後ろに束ねたその人は厳かに、悠然と足を進めてくる。平日の昼下がりにコーヒーを飲みながら眺めた昼寝中の猫の白さのように甘い顔の整った男だ。
 友人夫婦や使用人、周りの人間は不思議そうな顔で囁き合っていて、その男が誰なのか知っている者はいないようだった。
 その男は遺族席の前まで来ると、言葉は無く深々とゆっくり頭を友人夫婦に下げた。
 そして祭壇の、棺の前に歩み寄る。
 不思議な事に誰もその男を止めようとする者はいなかった。
 「手を出してはいけない」
と誰もが思ったのだろう。
 それだけその男の周りだけ空間が切り取られたような気がする程の気品のような神聖な気配が漂っていた。
 少女の穏やかな、もしかしたら死化粧により生前より健やかにさえ思える寝顔を見下ろす男の長い睫毛は、まるで甘い花の蜜を吸った夜露を乗せて恋人を見つめるかのように伏せて黒い瞳に影を落としていて、指先で少女の輪郭を確かめるように撫でる動作にさえ色気を感じる。
 男は数秒そうして少女を見つめた後、ゆっくりと身を屈めて、恋人にするようにその唇に口付けをした。
 その時に彼の手首に巻かれていた桃色のリボンのような物が、嫌に印象的に脳に焼き付いた。

「ああっ!」

 私の隣に座っていた、少女の世話を仰せつかっていた使用人もそのリボンに気が付いたらしく、突然声をあげてその後ハンカチに顔を埋めて泣き始めた。
 男の行動に流石に驚いた友人は、思わず立ち上がったが直前まで全身の力が抜けて憔悴していたために上手く立ち上がれず床に崩れ落ちる。
 体を起こした男は優しく微笑み、少女に何か言葉をかけているがこちらには聞こえない。
 やがて男は体の向きを変えて床に座り込んでいる友人にもう1度深々と頭を下げた。
 その後、瞬きもしないうちに男は姿を消した。
 まるで夢を見ていたかのようにその男が居た影も形も何もかもが何処にも存在しなかった。
 同時に、時間が動き出したように雨の音が聞こえてきた。
──あれは死神だ。
──悪い妖だ。
──ああ、可哀想に。
と噂をする声も聞こえてきた。
 その後、帰宅する前に友人の家へ荷物を運ぶなど手伝いをしていると、私の隣で泣いていた件の使用人が骨になった少女の部屋から飛び出して慌てて私を引き止めた。
 彼女に連れられて部屋へ向かうと、置き去りにされてしまった絵本や人形にお気に入りだと言っていたワンピース達が少女が生きていた時のまま主の帰りを待っていた。
 彼女が窓の外を震える指で示す。

「あれは、烏ですか」

 窓から庭の芍薬越しに見える塀の上に、一羽の烏が雨に打たれながらじっとこちらを見ている。

「雛の時に巣から落ちてその芍薬の木の下で死にかけていたのをお嬢様が拾い、世話をしていた烏です」
「よくわかりますね、見たところ野生ですが」
「あれを見てください」

 彼女は、泣き腫らした目から涙を零さないように口元に力を入れて言った。

「アッ!」

 思わず私は声を上げた。
 烏の足に、桃色のリボンが巻かれていたのだ。
 見覚えのある、忘れようもない、先程見たリボンだ。

「お嬢様はあの子を大変可愛がりよく世話をされておりました。餌をやったり本を読み聞かせたり、あの子を王子様と見立てておままごとをした事も……。きっとお嬢様にとってはお友達で、あるいは恋人だったのかもしれません」

 彼女はクスリと思い出し笑いを漏らして続けた。

「丈夫に育ち、いざ野生に返すとなるとお嬢様は大変嫌がって悲しみまして……あの子には申し訳なかったのですが、せめてもの贈り物をと言う事でお嬢様が足にあのリボンを結んだのです。烏は賢い鳥ですから、嫌なら外せるだろうと思いまして」
「きっと、相手も嬉しかったのでしょうね」
「ええ、今まで一度も姿を見せなかったのですけど……」

 彼女は窓を開けた。

「もう大丈夫ですよ。私にまで気を使って下さってありがとうございます。お嬢様を待たせてはなりません、どうぞ行ってくださいませ」

 その彼女の言葉に烏は羽を広げて舞い上がった。

「お嬢様はお嬢様なりに、決して可哀想なお方ではなかったと思います」
「ええ、私もそう思っていたところです」

 雨は降り続いていたが、烏が飛び立った西の空は段々明るくなっているのが見えた。

静脈の春

「静脈の春」

 

時に逸りし春の風が
我が血潮となりて先を歩ます。
眼前の断崖にて沈む夕日は
 こっとん、こっとん
船を漕いで海へ逝く。
来た道ゆく道猫に食わせて
あの子この子と幸福の数を数えている。
川の色、山の色、
猫の目の色、時計の針も、
眠る少女のブラウスの色も、
見よ全てあの空の色!
我が内に脈打つ春
それは確かに幸福の色。