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夜想葬曲

詩や短歌、想う事など

夕日香灯

 

夕日香灯(ゆうひこうとう)

 

死んだ初夏を桜の根元に埋めまして
今日も月は店仕舞
軒で嘆く子らを前に
仏の足音が啜り泣いてやって来ます

マッチ1本の火が私の涙
その火で太陽を作るのです
然もなくば役者が降ろした緞帳に
谷の街は湖になるからです

雨雲を縫うあの人の骨に問いましょう
冷えた指先で卒塔婆を片手に
私はいつ紫陽花を手折りましょうか

ただ一度だけ(「会議は踊る」より)

とある話題の中で生まれた物語のイメージソングとして「会議は踊る」(1931年の映画)で歌われた「Das Gibt's Nur Einmal」が似合うのではないかと言うことで和訳していただいたものをもとに自分なりにメロディーに乗せられる詩を目指して作詞してみました。

既に日本語歌詞は存在しているんですがどうしても自分でやりたかった!

ドイツ語を英語に、英語を日本語に訳してくださった方々に感謝です。
ジブリの『風立ちぬ』でも歌われてますね。

 

 

『ただ一度だけ』

 

私の瞳は夢を見ているの?
小雨は輝き皆が笑うの
今日はお伽噺の頁の向こうへ

 ※
ただ一度花咲くといつか夢に見た
正夢に成らざると誰もが言ったのよ
ただ一度、二度とない。だって雲は流れる
だけどいいの、雲間から虹が降り注ぐ
今この日、一度だけ!こんな5月は無かった!

手を取る2人は永遠を語る
けれども言うでしょう?「"会う"は"別れ"」と
いつかその時知る、言葉の意味を

 ※繰り返し

 

 

羽を拾う冬

愛する人の香りを纏った初春が、船に揺られてやってきた。
走る木枯らしの背に負われ夜の海に漕ぎ出た三日月に、人々は古く伝わる蛍雪を慈しむ。
鐘の音よ!鐘の音よ!居眠りする羊を昨日の夕日へ追い立てろ!
全ての人々の喜びの歌を標に初春はやってきた。
愛する人の甘い声に机上の雪は溶かされて、船が鳥居をくぐる頃には食べ頃だ。

鋼の雪

鋼の雪を踏みつけて
私は彼等の屍を登る
ひとりぼっちの雪原の
バベルの塔のてっぺんへ

 荒野の夕日に椅子の影
とうに居なくなった薔薇の花
私は貴女の声を探している

 聞こえますか、今日の羊雲
私は鋼の雪を食べて
ただ一つの歌をうたっている
ただ一つの声を待っている

【シン・ゴジラ二次創作短歌】龍の愛した女神への祝詞

http://bekira.hatenablog.com/entry/2016/09/27/230833
の「恋人を喪った安田短歌」へ投稿した自作短歌

 

 

・曙の紫に似た雲に発ち
       君は神へと成ってしまった

 

・指先でなぞった髪の色に似た
       黒い縁取りにある君の名は。

 

・君眠り神を屠りし夜が明け
        我が目や水を括る赤かな

 

・列車逝く、いつかの僕ときみを乗せ
        途中下車して十束抜く僕

 

・灰になる 街と共に 君は逝く
        在来線と同じ速さで

 

・明けに暮れ 神を殺して 死へ向かう
        僕の靴は 鈍行列車

 

・神眠り僕は無事だと喚いても
        電話の向こう君はいなくて

 

・手のひらにあったスマホの君の名は今4寸の漆に眠る

 

(発声した声の形の指輪の話題を受け)
・薬指、指輪を縛る君の名は。僕の名を呼ぶ聲の形だ

 

・君のいないベッドの中は空の棺の中より寒い気がする

【シン・ゴジラ二次創作詩】東京駅に君の影を縫い付ける方法

待ちに待ったシン・ゴジラが公開され今のところ合計6回見に行った。

そんな中Twitterでフォロワーを中心に盛り上がった「立川での安田課長の顔、恋人喪った顔だよね…」というネタから生まれた二次創作自由詩2編。

まず暇な人はこの流れを把握してから読むのをオススメ。(全編にわたりネタバレ注意)(詩だけ読めればいいな人は読まなくてもまあ大丈夫)

 

恋人を喪った安田課長まとめ

全ての始まり

「安田課長♡恋人喪って♡」

http://togetter.com/li/1025291

落ち着くかと思いきや広がる火の粉と地獄

「安田さんの幸せな日々と絶望」

http://togetter.com/li/1026394

安田龍彦、文学へ

「 #恋人を喪った安田まとめ 」

http://togetter.com/li/1026523

 

 

 

 

 

以外2編

 

【東京駅に君の影を縫い付ける方法】

 

 

1

ホトトギスがいなくなる頃に

君もどこかへ行ってしまった

曙にたなびく空に好きと言った

あの紫だちたる雲に発ち

君は神様になってしまったのだろう

 

 

眠る暇なく旅立った

君の所在地はいまどこだろう

手紙の1つくれてもいいもんだ

どうしても君に触れたくて

吐いた紫煙は窓辺で解けた

 

 

鼻先に触れた蜜のように甘かった

君の声は僕に届きやしなかった

これを文明と言えようか

こんな文明いるもんか

 

 

 

 

 

2

ぽっかりあいた東京駅の空に

君の涙の味がした

 

 

いつかキスしたその指に

300円の指輪は嵌らないと僕は知る

 

 

ぼんやり霞んだ視線の向こう

僕の影だけに雨が振る

 

 

君が好きと言った紫色の夕暮れよ

そこのカフェで少し待ってて

 

 

雨を止ませて空を見た

仰ぎ立つ神のその向こう

雲に見えた影は君と知る

ある夜の事

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ある夜の事

 

お煎餅が割れました
波の向こうのお煎餅

この間までまんまるで
綺麗に輝いていたものですから
わたしはひどく驚いて
灯台に話を聞きますと

「鯨が齧つていったのさ」

と、灯りを回して笑います

鯨はそれをどうするのかと問いますと
答えたのは彼でなく
外国の船に乗り
ネズミ取りなぞをしている青い目の猫

「海の反対側へ持つていくのさ」

異国語訛りの言葉で教えてくれました

波の向こうの煎餅は
 欠けても変わらず明かります
海の底のその先で
 欠片も地上を照らすでしょう